ロック私小説「メジャーを追い越せインディーズ!2」第13話
『有線(2)』
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彼の実家は
近郊で
自営業を営んでいた
音楽の為だけではなく
色々な理由があって
東京に住むようになったが
またまた
色々な事情で
「手伝ってもらえると助かる」と言われ
彼も
ありがたく
その仕事を手伝っていた
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「有線のことで
困ってる...」
すぐには言い出せずにいたが
なんとなく
わらにもすがる思いで
口に出してみた
有線を入れてないとリクエストしづらいこと
説明されても答える事が限られてしまうこと
そして
色々なことを差し引いても
有線は魅力だということ
すると...
簡単に
「うちの事務所に入れるよ」
と言ってくれた
音楽を職業としていた訳ではないが
音楽が大好きな一家である事は
間違いない
以前この仕事場に
有線を入れようと思ったが
音楽好きが裏目に出て
「仕事に集中出来なくなる」
と考えてやめたらしい
だが
今回
こういった状況で
ちょうどいい
と思ったかどうかは
分からないが
何しろ
ありがたかった
そして
即断即決が
うれしかった
即断即決というのは
「その」事におぼろげながらも
考えていないと出来る事ではない
会社における
企業方針のように
個人における
行動基準のように
なにか
「こういうことがあったら
こうしよう」
と
考えていたに
違いない
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彼が手伝っている仕事自体は
あまり
好きな職種ではなかったが
精一杯
がんばってみよう
そう
心から
思った
その気持ちは
長く
続かなかったが...
~ 2 B Continued ! ~
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次回、7/12号は「深夜のFM放送で」です。
お楽しみに!
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Tips □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・Windows 98 SE
この頃ちょうど東京に暮らす事になっていたので
「パソコンが欲しいな」と漠然に思ってました。
初めは、まさかパソコンで音楽をやる事になるとは夢にも思わなかったので
メールとネットくらい出来ればいいな。くらいにしか思っていませんでした。
...
暴露します。
このパソコンは共同出資してくれた方がいます。
もちろん身内ではありません。
この方がパソコンに詳しかったお陰で僕は
「音楽の出来るパソコン」を手に入れる事が出来ました。
もっと言えば
この方がパソコンに詳しかったお陰で
僕は新しい手法で作曲を学ぶことが出来
テクノロジーが与えてくれる可能性に多感な時期に触れる事が出来ました。
そしてさらにその事が
自分で作曲することから始まり、アレンジ、ミックス、マスタリング
そしてCD制作、
さらにリリースやレーベルの立ち上げへと向かわせてくれる事になります。
心から感謝してます。
この場を借りてお礼言わせて頂きます。
ーーーーー
で、ホントに何も知らなかった僕ですが
幸運な事に現行のDTMソフトであればなんでも使用出来るマシンを
手に入れることが出来ました。
以前のTIPSで書いたように
一番最初に使用したソフトはACIDというソフトだったのですが
その後、CUBASEというシーケンサー的にはもう一歩進んだソフトを
使用する際にも十分なスペックでした。
次回は
Windows 98 SE(2)です。
お楽しみに!
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Outro.□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
日経新聞には「私の履歴書」という記事があって
著名人自らの歴史を語り、すごく面白いので愛読しています。
中でも先週連載を終えた遠藤実氏の波瀾万丈の履歴は
本当に興味深く読ませて頂きました。
遠藤氏は
千昌夫さん「星影のワルツ」や山本リンダさん「困っちゃうナ」
など色々な方々に大ヒット曲を書いた作曲家なのですが
すべてがトントン拍子に進んだ訳ではなく
歌手を目指して挫折したり
レコード会社のトップを作曲家と平行して勤める中で
色々な葛藤があったり
心臓を患い重い病にかかったり...
そしてその遠藤氏を支え続けたのが
奥さんの「節子さん」でした。
定食屋で
売れない流し時代に粗食ばかり頼んでいた遠藤氏に
そこで働いてた節子さんが
そっとカツ丼を差し出したことが出会いのきっかけに
なります。
やがて一緒に暮らすようになり結婚へ。
遠藤氏の事情で
お金の節約をしなければならない理由を話すと
「わかったわ。うんと節約しなくちゃ」と
赤インクを口紅の代わりに、歯磨き粉を白粉の代わりにしていたそうです。
そんな新婚の日々が続いたものの
暮らしに終われ、流しの辛さ、
色々な事に疲れていた遠藤氏はある日、苛立を抑えきれずに
節子さんを殴ってしまいます。
普通、出て行きますよね?
いくら愛する人でも殴られた日にゃ。
この日の記事は「殴ってしまった」というところで終わっていたので
「どうなってしまうんだろう...」と思っていたのですが
節子さんはそれからも
何事もなかったように遠藤氏を支え続けていったそうです。
きっと節子さんでなければダメな何かを
節子さん自身が気付いていたんだと思います。
長い間、遠藤氏に寄り添い、支え続けて来た節子さんですが
60を過ぎた頃に治らぬ病にかかり、召される日がやってきます。
先週の金曜日の記事でした。
僕は車に乗りながらこの記事を読んでいたのですが
「グッと」くるものを押さえるのに必死でした。
病室で死期を察した節子さんは
今まで動かせずにいた体を必死に起こし上げて
見舞いに来てくれた方々一人一人に
笑顔でお礼を言いました。
抱きかかえた遠藤氏に
「幸せでした」
と一言。
そして
「おまえのお陰でここまでやって来られた」と
返す遠藤氏に
「いいえ、世間様のお陰です」
と言って最期を迎えました。
遠藤氏を支え続けた妻としての節子さんよりも
人として尊敬する。
連載を追うごとに節子さんの大きさに惹かれて
いざ最終回を迎え
「会いたいな」
って思ったら
グッときてしまった。
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