英語と私/松本亨レバレッジまとめ

参考
https://snbrand.com/?p=110
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松本亨/教科書の暗記

私は正しい英語を、できるだけたくさん頭の中に入れておこうと考えた
それには、必要な時にすぐ使える英語を「生のままで」覚えておくことであった。

さて、正しい英語で頭の中をいっぱいにするといっても、
四六時中英語の世界に住んでいる訳ではないから、
何か手頃な所から始めなければならない。

私の通学方法は小田急と山手線で目黒に出ることであった。
英文科に入ってからは、目黒からバスに乗って行った。
これに要する時間じゃ相当なものであった。

もちろん乗り物の中でも勉強しようと思えば出来ない訳ではなかった。
しかし、朝の混んだ電車の中でまとまった勉強は中々容易ではないし
年齢が年齢なので、どうしても目がきれいな女学生に見とれてしまう。

電車での勉強は無理である。

私は家から渋谷まで歩くことにした。まず、基本的な英語を頭に
入れてしまおうと思って、中学一年のリーダーを取り出した。

それを全部暗記することにしたので
渋谷までの30分をそれにあてた。

1ページから初めて次々に進んで行く訳だが、2ページを覚えたら必ず1ページに戻って、そこからまた言い直してみた。

渋谷と目黒の間の電車の中でもそれを続けた。
目黒から学院までもバスに乗らずに裏道を通って暗記を続けた

アルバイトの家庭教師の口はすくなくて二軒、多いときは四軒も受け持った。それも一週にたいてい二回ずつであるから、そのために費やす往復の時間だけでもかなりかかった。

それで、歩いて行ける程度のところは歩いて行き、どうしても電車に乗らなければならないときは、ドアから外を眺めながら暗記を続けた。

帰途につく頃はいつも夜であった。
声を出して練習するために夜は代々木の練兵場を通った。こわかったが、発生のためには最適な場所であったから、雨が降っても雪が降っても練兵場を通って家に帰った。

こうして巻一と巻二を丸暗記した。
中学の巻一と巻二さえ全部暗記してしまえば、英語に出てくる基本的な文章の構造はたいてい覚えてしまえると信じたからである。

これ以上の材料を丸暗記出来たかどうかはもちろん疑問である。

あれから30年たった今日、その時のレッスンをどの程度覚えているかは分からない。

しかし、英文を暗記する習慣と能力をその頃に身につけたということは、後になってどれほど役に立ったか、はかりしれないものがあったと思う。

結局、われわれの日本語も、全部暗記したからこそ、次から次へと言葉が出てくるのである。

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松本亨/はやく読む練習

暗記をしながら発見したことは、同じ量の英語でも、一回目と二回目とでは、
繰り返して言う時に費やす時間に多少の差があるということであった。

一つのことを言っているうちに、次のことがどんどん脳裏に浮かんでくる。

むしろ、舌の周りの遅いのがまどろっこしいほどである。

それなら、読むことにも同じ原理が適用されて良い訳である。

そこで私は速読の練習をはじめた。
原書を片っ端から読もう。

私はこう、決心した。

それは訳さずにどんどん読んで行くことである。

辞書はひかないことを原則とした。

どうしても意味がつかめないときだけ辞書に頼ることにした。

幸い、私のアルバイトは収入が良かった。
その時のお金で、少なくとも月に50円、多い時は80円ぐらいもあった。
これは、大卒の初任給に等しかった。

家に生活費を入れても、まだ十分のお小遣いが残った。
それで私は、古本屋に言っては洋書を買った。

そして以前と同じように渋谷まで歩き、また目黒から歩いて本を読んだ。

最初に手に入れて読んだ分厚い本はトルストイのアンナカレニナであった。

それを英語で読んだときの感激は、今でも忘れられない。

最初の一時間には3ページしか読めなかった。この分ではいくら頑張っても一ヶ月はかかると思ったが、なんとかしてスピードを増してみようと努力しているうちに4ページ、10ページと読めるようになった。

アンナカレニナは順調に進んで終わり頃には一時間平均30ページ
は読めた。

これに勢いを得て一日少なくとも100ページを標準にして
次から次へと進んで行った。

私はその頃、英文科の三年生、本箱に一冊一冊と本が増えて行った。

一年間に100冊くらい読んだだろう。新宿のある百貨店で立派な本箱を買って来て、自分の読んだ穂運を並べて悦に入ったりした。

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松本亨/英語でひとりごと

原書も100冊くらい読むと、ちょっと堪能してしまう。
本に飽きてくると
何各地でつぶやいてみたくなった。
何気なく英語をしゃべっていると
それがやや本物の英語らしく聞こえる。
少しも躊躇せずにするすると出てくる。
前に暗記していたときも続いて出て来たが
それはしょせん誰かほかの人の書いた英語であった。
やはり自分で考えだした英語の方が面白い味がある。
そしてこれは一人二役で会話の形にしていった。
常に自分と一緒に居る人物を仮想して時と場所を問わずにしゃべるのである。

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松本亨/日本語から英語に

私の毎日は英語に開け英語にくれていた。
ただしこれは、私が意識的にそうしたことであって
自然にそうなった訳ではない。

朝読む新聞、ラジオ、道を歩きながら見る看板、
友人との話、学校での講義
(英文学以外の科目)、境界で聞く説教、仮定での会話
これらは否応無しに日本語であった。

私はこれらのすべてを英語に直していかなければ完全な
「英語の生活」にはならないと自覚したのである。

新聞は読みながら頭の中で英語に直しつつ理解して行った。
スピードはかなり落ちるし、量も少なくなった。
したがって、朝のひとときでたいした勉強にはならなかったが
何か1つの見出しを捉えてその記事をともかく英語で頭に入れておいた。

ラジオは即聴即訳の方法をとった。
しかし、あまりラジオを聞く暇のなかった私は、茶の間から聞こえてくる音を聞きながら眠ってしまったことの方が多かった。

友人との普通の会話はその場で英訳するのみでなく、
あとでその会話の要点を英語に直してみる程度であった。
いちばん一生懸命にやったのは
講義と説教の即訳であった。

講義の方は割合にゆっくり話してくれたので
英語でノートを取って行くのはさほど困難ではなかったが
教会での説教は中々努力を要した。
いつもいっしょに腰をかけていた花川君が、
横から私の走り書きするのを見ていたことを思い出す。

ある晩、母と長いこと話をしたことがあった。
私は母の言うことをドンドン英訳しながら聞いて行った。
もちろん適当に返事はしていたが
あまり私の方から意見は述べなかった。
いつになく私がおとなしく何も反抗しないで聞いていたので
母は物足りなく思ったに違いないが
私の頭は忙しく働いていたのである。

こうして耳から入るすべての事柄が英語になって筆記されたり
口づてに頭の中に入ったりしていたので、
いざ何か言ったり書いたりしようとすると英語の方が先に出てくることがしばしばあった。

ときどき頭が混乱して、ことばがどもることさえあった。
とうとう生物学の試験の時に私は先生の許しを得て、
答案を英語で書かせてもらった。

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松本亨/英語で夢をみる

アルバイトとE.S.Sのことでかなり忙しかったが
月に一回くらいは外国映画を見に行くことにしていた。
土曜日などには昼から映画館に入って最後まで頑張ることもあった。

ちょうどトーキーが(talkie)流行し始めた頃であったから
もう活弁はいなかった。

そのかわり、今でもやっているように日本語が字幕になってあらわれた。
どうしてもこれに目がひかれる。

そこで私は同じ映画を二回三回と見ることにしてその字幕を見ずに会話だけを聞く練習をした。
時には目を閉じて聞いていた。

クラークゲーブルとクローデットコルベールのIt happened one night (ある夜の出来事)は勉強になった。
二人の英語がとても歯切れがよく聞こえた。
1つ1つの会話の文章が比較的短くてよくわかったからであったろう。

この映画の効果はそれだけにとどまらなかった。

私が今この映画を特にここでうんぬんするわけには
もう1つの理由がある。
そしてそれは私の英語生活にきわめて重要な意味を持つターニングポイントとなったことである。

というのは
その晩わたしはその映画の夢を見たのである。
出てくる人物がすべて英語でしゃべった。
それが実にはっきりした英語であった。
ハッと思って目を覚ましたときの興奮は今でも忘れられない。

それからというものは、夢はすべて英語で見ることにした。
もちろんこんなことは自分でいくらそう決めたって、
なかなか実現出来るものではない。
英語で夢を見るためには常時英語で物を考えていなければならなし、
私達の無意識中の意識も英語で働いていなければなない。
私は今ここで
夢と言う人間の頭脳の働きに関してうんぬんする知識をもたないが
この映画の経験以来、ふだん日本語で私に話している人が夢の中では英語をしゃべってくれたことは事実である。

私の父の生家が埼玉県の田舎にあって
そこには遠い親戚がたくさんあるが、その中に一人、とても優しいおばあさんがいた。
もう腰が曲がっていたが、
いつもニコニコして私に何かくれた。

子供の頃
このおばあさんに会うのがとても楽しかった。

ところがある晩、
このおばあさんが私の夢の中に出て来て、しわがれ声で英語で何か言った。目が覚めた時私は思わずわらってしまった。

私はとにかく文字通り夢中で英語の勉強をしていたのだ。

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松本亨/日記/自由作文とは

基礎になるものは
読書
入れ替え作業
経験
の3つ

・要領
創作文は過去形を用いること
散文は現在形を用いること
なるべくbe動詞を使わないこと

やってはいけないこと
日本語で原稿を書くこと
はじめから細かいことを気にすること
冠詞や単数複数など

上達の秘訣は
毎日なにか書くこと
普段からたねをさがしておくこと
用の無いときは常に英語で考えていること
ペンより早くつぎのことを考えること

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松本亨/英語で考えるコツ

電話が鳴ったら
Oh the telephone’s ringing.
おなかがすいたら
foodを連想、または
I’m starving.

仕事をしようか野球を見ようかと悩むなら
Shall I work or Shall I watch the ball game?

This is Monday. The barbershop is closed.

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松本亨/会話の鍵

大切な言葉を聞き取る。はじめと終わりにくることが多い
決まり文句が多い
その決まり文句を知っていれば聞くのも話すのも楽
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わたしの進める方法は
なにはさておき、英語をお読みください

多読速読を身につけること

手当たり次第、英書、雑誌、英字新聞を。

一日に少なくとも3時間は読んで下さい
これはいい文章だ。
これは役に立つと思ったら線を弾きます。

辞書を引いたら
その単語に印。
2度同じものを引いたらそれで
最後にするつもりで
noteに書き写し、book of shame と題し
電車の中でこっそり復習します。

そこには、日本語の訳は書かず
最初から順に暗記して行きます。
一冊のノートが終わった時には約1000語がものに入っているはず

次に書くこと

書くことは1時間でいい。
一番効果があるのは、今日読んだものを書くこと
大意をつかみ報告的な文、批判的な文を。

多読しているうちに
書く方も進歩する

読み書きは
裏表の存在。

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